2026年6月19日、参議院の災害対策及び東日本大震災復興特別委員会にて、防災庁設置法案の審査のために、参考人質疑が行われ、DMTC・沼田宗純副センター長が参考人として出席しました。

- 参議院インターネット審議中継にて、ページ内で検索していただくと実際の動画をご覧いただけます。
- 検索方法:災害対策及び東日本大震災復興特別委員会を選択、2026年6月19日の動画。
- 沼田副センター長の意見陳述 ⇒ 48:45~1:07:10
- 質疑応答 ⇒ 1:39:55~3:43:12
- 検索方法:災害対策及び東日本大震災復興特別委員会を選択、2026年6月19日の動画。
参考人としては、沼田副センター長のほか、高知県黒潮町の大西勝也町長、特定非営利活動法人全国災害ボランティア支援団体ネットワークの栗田暢之代表理事の3名が出席しました。
委員会では、参考人の3名がそれぞれ15分間の意見陳述を行った後、8名の委員との間で質疑応答が行われ、防災庁の役割や自治体支援の在り方、災害ボランティアとの連携などについて議論が交わされました。
沼田副センター長は、学識経験者として、防災庁は専門家集団として研究と制度設計を主導すべきだと述べました。具体的には、インシデント・コマンド・システム(ICS)を参考にし、日本独自の災害対応の標準体系を構築することが重要であり、大学と連携した実践的な人材育成を行えるように設計すべきだと提言しました。
大西町長は、自治体の首長として、防災庁の職員は基礎自治体での勤務経験を持ち、現場目線で国と地方の連携を深めるべきだと述べました。また、地域の防災力向上には、子供への防災教育を通じた住民の主体性醸成と行動変容へのアプローチ、インフラ維持等のための国の財政支援が不可欠であると指摘しました。
栗田代表理事は、災害ボランティア支援団体を代表する立場として、行政、社会福祉協議会、NPO等による官民連携(3者連携)の強化が必要不可欠だと述べました。防災庁には、支援組織をつなぐハブとしての調整機能や広域避難者のシームレスな支援を行う役割が必要だと提言しました。
今回の参考人質疑では、防災庁に求められる役割として、現場目線を持った司令塔機能と、多様な主体との連携・調整機能の重要性が共通して指摘されました。今後の法案審議では、これらの意見を踏まえながら、防災庁の具体的な組織体制や運営の在り方について議論が進められる見通しです。
【以下、沼田副センター長の意見陳述の全文】
はい、よろしくお願いいたします。東京大学の沼田宗純から、少し防災庁についてお話できればと思います。資料なんですけども、自転車の絵が書いてある資料と、あと私がずっと行っております、主に市町村の現場で色々対応する中でいろんな意見を聞いて、何かしらノウハウとしてまとめようということで、皆様にお配りしておりますこういう黄色い本にいろんなエッセンスを詰め込もうということでこういうものを作りました。どうにか行政の現場に何かしら私自身が貢献できないかなという思いでこういう活動をずっとしております。では、資料に従って少しお話をできればと思います。ちょっとイメージなんですけども、自転車の絵があります。今まで私も色々現場に行って、市町村の防災課がとにかく一生懸命やっているというのはもう間違いないと思います。今後、これから防災庁ができて、やはりそのいろんな指針でいろんな方向性、そして都道府県もうまく巻き込んで、いろんな方向性を持って防災庁が日本の防災政策をどんどん進めていただける、そういう風に思っているものです。タイトルも「ワンチーム、ワンレスポンス」ということで、これはASEANの標語で「ワンASEAN、ワンレスポンス」という言葉があるんですね。1つのチームとしていろんな災害対策に取り組むという意味で、こういう言葉で色々対応できればという思いでタイトルにつけさせていただいてます。私は、今日こういう発言の機会をいただいて本当に、これまで準備室の皆様並びに多くの関係者が、こういった防災庁を設置するということで、いろんな意見をこのように議論してるということで、本当に素晴らしいと思い、大変感慨深く拝見させていただいておりました。防災については、いろんな海外に行って「日本にも防災庁があるのかないのか」と色々質問されたりもします。逆に海外に行くと色々あるんですね。そういった位置付けを踏まえてこの防災庁が日本の防災政策の転換点になる、そういう思いで私もずっと情報得てきましたし、こういう場にお招きいただいたということで本当にありがたく思っております。今ここに9つを論点として上げています。主に行政の現場をどうしたらいいのかということを中心に今日お話しして、あと防災大学校、そして防災庁は事前防災を進めるということで事前防災について、そして最後はデザインという視点でも少しお話をして終わればと思っております。私は4ページにありますけども、大きく5つ、活動として上げさせていただきました。まず1つ目は「災害対応を標準化しよう」ということで、あの黄色い本にまとめてありますけども、8分野47種類という風に業務を定義して、いろんな自治体の行政の現場などで皆さんが「防災、災害対策、災害対応で何をやったらいいんだろう」という時に、こういう枠組みを提示したり、数字で示したりすることで、俯瞰して理解が進むということを目指してこういう定義をしてます。それを踏まえて2つ目は「災害対応工程管理システム(BOSS)」というもので業務を管理する、そういったシステムを開発してます。あと実際やはり座学で勉強することに加えて、「やってみよう」ということで体験的にかつ体系的に研修ができるものとして、「DMTC」というトレーニングセンターを東大に立ち上げて訓練などをやっています。さらにやはり「学習した証明としてどれぐらい能力があるんだろうか」「どれぐらいスキルアップしたのか」ということを証明したいという意見も多くありまして、能力認定制度というものを立ち上げています。これはA、B、Cという3段階で段階的にレベルアップしようということで、皆さんにこういう能力認定制度ということも受けていただいてます。最後5つ目は「災害対策エグゼクティブプログラム」というもので、社会人のリカレント教育というものも立ち上げています。これもやはり社会人にもっと勉強してほしい、特に組織のリーダー、トップ層に勉強していただきたいということで、こういう場を設けて研究をしてもらいつつ、学ぶという社会人の交流の場を作っております。今回この場に私もお招きいただいたのは、森先生にこの災害対策エグゼクティブプログラムで生徒として来ていただいて、そのご縁でこういう機会を今日頂いております。先ほどの1つ目の「災害対策を俯瞰して体系化しよう」ということで、ちょっとカラフルな絵がありますけども、47種類ということで本部を中心に見てみると、行政の現場ではこれだけのことを同時にやります。下に時系列でそれを書いてありますけども、時系列に並べてもこれだけのことをやります。1つ1つがそんなに簡単に解決できるような問題ではありません。ただ、少なくともこうやって体系化して全体を見ることが大事だと思っています。それを踏まえて、これちゃんと工程管理システムということで6ページですけども、システム化をして業務フローを見て、今熊本とか神戸など写真でご紹介しておりますけども、このように実際対応をどういう風にやるんだということを、いろんなモニターとかいっぱいありますので、迷わないように業務のフローチャートにすると。いろんな検索をしたり、全てのノウハウをここに詰め込むということで、研修の様子の写真を紹介しています。7ページに行きますけども、やっぱり色々やってみるということで、逆にやることによって「この知識が足りないから、あれをもっと知るべきだ」などということで、実際にいろんな研修を体系的にやるということを今は東大の方で進めております。8ページ目は国内でいろんな活動をしてるんですけども、この黄色い本の元になっているフローチャートを今、後ろに出しております。実際現場に行くと本を見てくださいというわけにいかないので、8ページ目に写真がありますけども、こういう形で現場に行ってフローチャートで一見して災害の業務全体が分かるように、こういう紙を持って行って、いろんな首長さんとか職員の方に「今これをやらなきゃいけないよね、次これだよね」というので、先取りでいろんな対応ができるようなものを現場には持って行って、いろんな支援もこれまで行っていました。国際的にもこれを英語にして持って行ったり、いろんな世界銀行のプロジェクトや、この委員会でもイタリアの話題が出てますけども、私も2016年のアマトリーチェのひどい時に現場に行って、いろんなイタリアの実際の災害対応中のものを見てきておりますので、今回それも内容として入れております。9ページ、防災大学校の視点で議論にもなってるかなと思いますけども、テキサスのこういったディザスタシティにも2017年にもう行って、ここでどんなことやってるんだろうかという意見を聞きました。ここで聞いたのが、施設は立派なのはもう世界中からいろんな視察が来るらしいんですね。ここでアメリカのスタッフに言われたのが「とにかくちゃんとカリキュラムを作りなさい」と。「中身がないと施設が立派でもなかなか活用できないぞ、だからまずカリキュラムを作れ」というので、こういう8分野47種類という視点でカリキュラムを作ってます。下にスリランカに2019年に世界銀行の短期コンサルタントという立場ですね、スリランカのミニストリー・オブ・ディザスター・マネジメント(防災省、日本語にすると庁か省かちょっと分かりませんけども)ここに行って、1ヶ月間防災省のいろんな業務、何が課題か、何を改善すべきかを意見を言ってほしいということで、1ヶ月間ここに毎日通っていろんな国の方と話をして、スリランカの国としての防災政策をどうするのかというのも関わらせていただきました。10ページ、スイスにも先日行って、マレーシアの国家公務員もお招きしていろんな訓練をしたり、国の様々な防災の立場の人といろんな意見交換をしています。11ページは僕の原体験にもなっていますけど、もちろん東日本大震災があったり、その前にも新潟県中越地震とか色々ありますが、今ここに朝倉市と倉敷市の対応の様子を示していますけども、2つの事例として、避難所運営の物資でいろんな食事を手配する人が、保健師さんがやってたんですね。でも保健業務ではないんですよね。それでやっぱり物資を提供するって大変なので、朝倉市も倉敷市も保健師さんが体調を崩されて入院されたという、そんな事例もあったんですね。なので、やはり業務って本当に大変だなということで、どうにか支援をしたいということで、今私はこういう活動をさせていただいてます。12ページからちょっと具体的にいくつか申し上げたいと思ってます。まず提案1として、やはり防災庁は防災の専門家集団にすべきだろうと思ってます。なかなか綺麗事ではないですし、現場に行ったらすぐに解決できる問題というのはそんなに多くはないと思います。やはりその時に、防災庁の職員が現場に行って専門家として、今ここにキャプテンシップって書いてありますけども、リードして現場を指揮命令するという、そういう考え方もあると思いますけども、やっぱりキャプテンシップの発想でいろんな課題を一緒に解決して、いろんな人を巻き込んで一緒にチームを運営していこうというスタイルが、私は現場を色々見て望ましいのかなと思ってます。国交省の職員とかTEC-FORCEとかいろんな方が現場にいますけども、やはり誰かがリードして指揮命令という、そういうイメージはないなと思っています。防災庁の職員ももちろん現場に行った時に、いろんな方を巻き込んで解決する、そういうスタイルを私自身はイメージしてます。その際に13ページにありますけども、専門家としてやはり災害対応の基本原則、今事例として私たちやってる8分野47種類を上げてますけども、やはり日本としての基本原則というのをしっかり作った上で、いろんな各種システム、新総合防災情報システム(SOBO-WEB)や新物資システム(B-PLo)などいろんなシステムありますけども、そういったシステムが開発できる、そしてそれを使って教育をする。そういった準備があって、実際の災害対策、災害対応がうまくいく。そういった考え方が海外にも色々通用するのかなと、そんなイメージを持っています。なので基本的な「型」をちゃんと作るということが、まず防災庁の役割の1つでもあるかなと思います。14ページに行きますけども「理論構築」とあります。理論と言うとなかなか難しいんですけども、左側に「現象ドリブン」というものがあります。現象ドリブンというのは、過去の災害がこうだった、ああだったという検証は確かに大事です。それを踏まえて右側の「理論・枠組み」というのがありますけども、じゃあそういった事例を踏まえて何が本当に重要なのか、何を最適化しなきゃいけないのかということをちゃんと組み上げるということも、防災庁の役割なのかなと思ってます。現象を理解した上でちゃんと枠組みを作ったり、フレームワークを作ってそれを実務教育に生かす、やはりその繰り返しなのかなという風に思っています。15ページから2つ目、提案2ということですけども、災害対応を標準化しましょうということです。海外に行くとSOP(スタンダード・オペレーティング・プロシージャ)という言葉がよく使われます。標準的な手順と言います。いろんなインドネシアとかスリランカとかマレーシアとか色々話すと、「我が国はSOPがあって、それに従っていろんな対応をする」ということを言います。アメリカだと日本で有名なのはICS(インシデント・コマンド・システム)というのも、手順ではないですけども、考え方としてそういった言葉があります。日本も、こういった災害のいろんな考え方、取り組みというのを具体的にこういう言葉を作るということも大事かなと思ってます。それができると、ボランティアとか専門人材が民間も含めていっぱいいらっしゃるので、そういった専門人材をデータベース化して、しっかりとそういった方に災害時に活動してもらうということが大事かなと思ってます。レベル化の話もあります。イタリアはA、B、Cという風に3段階あります。そういった災害の被害の規模によって、Aだったら地域でできる、Bだったら県が必要、Cだったら国が出るという感じで、ちゃんとレベル分けをすると現場も動きやすいのかなと思います。16ページ、これ2016年に、私がイタリアに行った時の写真ですけども、この現場でじゃあイタリアはどういう風に活動してきたのかということです。ちょっと時間が無いので全部は説明できませんけども、右下の図のスキンヘッドのイタリアのカッコいい方がいらっしゃいますけども、彼と話すと、彼は国の職員です。現場に行って国の職員が、じゃあこの被災地をリードして指揮命令をして、ということではないんですね。彼は現場に行って地元の職員などを巻き込んで、ボランティアがいっぱいいます、巻き込んで色々「私が過去の知見を踏まえながらこの対応をどうしたらいいのか」というのをいろんな人に助言をしながら進めていくんですと。必ずしもこうリーダーシップを発揮するという、そういう感じじゃないんですね。というので17ページ、実際いろんな専門家が居て、女性も多いですし、いろんな方が現場で対応している、ボランティアも本部に入って情報集めて対応しているという、そんな様子です。18ページ、地方に防災局を今2箇所置こうとかいろんな話が挙がっているという風に伺っていますけども、イタリアの場合はリージョナル・レスポンス・ユニットと言って地域にこういった配置をして、いろんな対応、訓練、標準化をして、何かあればそのチームが全国から集まるというスタイルでチームを組んでます。18ページの下に建物被害認定調査とか避難所運営などですね。避難所運営なんかは事前に30時間研修して、専門職として認定された人がバッジをもらって実際現地で働くということです。私が行った時も避難所にすごい女性で、バッジとユニフォームを着て運営してる、そういった方が多くいらっしゃいました。19ページ、参考までにイタリアのA、B、Cというので、こういったレベル分けがされているという参考資料です。20ページで提案3ですけども、防災DX。これもDXは新総合防災情報システム(SOBO-WEB)があります。いろんな情報を集めるようなツールは今いっぱいあります。ただ実際情報を入力するのは市町村なんですね。ちゃんとした情報が本当に集まる体制を作れるかということです。21ページ、集まった情報をじゃあどうやって処理するんですかと。そっちがやはり目的なので、災害対応の視点で言ったら、いろんなハザード情報を集めて、人や建物から被害量を推計して、「じゃあこの被害だったらどういう対応が必要で、どのくらいの業務量で、どれぐらい期間が必要で、何人必要なのか」というここまでちゃんと計算しないと、集めた情報だけでは不十分だと思ってます。22ページは、これは市町村がいろんな意思決定をされてます。これはやはり経験や勘に色々依存することもあると思うんですけども、例えばここに書いてあるのは「避難情報発令支援システム」と仮で書いてありますけども、全域避難とかって今出してます。でもこれもある程度ピンポイントで機械的に出すということを、もう少し判断を支援するところまでシステム化するということが大事だろうと思ってます。23ページ、物資や救助、被災者支援メニューの一元化とワンストップとか色々ありますけども、これも情報を集めるだけじゃなくて、得られた現在の状況から「じゃあ物資は1週間後、1ヶ月後どれぐらい物資が必要なのか」というのを推計してちゃんと提示してあげる。今、情報を現場からもらって「じゃあ物資届けましょう」と。新物資システム(B-PLo)、私も経済産業省の前身の委員会に入っていた時に、情報を集めるのはあるんですけど、集めた情報から「じゃあ物資提供します」と言うともう現場届いた時には遅いんですね。なので事前に推計する。24ページ、ちょっと下の方行くと、イタリアの物資の話もこうやってコンテナ使ってうまくやるということで、日本とちょっと物資の輸送も変わります。25ページ、民間活用しましょうということで、いろんな人がいっぱいいますので、その認定基準をちゃんと作ろうということです。26ページ、ボローニャに行くと、右側の椅子がいっぱい並んでる写真は、ボランティアがちゃんと入れる場所をボローニャの市の中に作ってるんですね。市の本部会議をする部屋の隣にこういう大きな部屋があって、ボランティアが活動する場所を設けてます。27ページからいくといろんなインセンティブの制度があります。ボランティア活動したら税金が免除されるということで、28ページ、法律をいくつか参考に載せてます。29ページ、事前防災を推進しましょうということで、これは防災庁ができて、本当に土地利用含めていろんな土地利用の政策・制度も含めて進むのかなと思ってます。企業の災害対応コミットメントラインのような企業への対策も進むのかなと思ってます。防災大学校に関しても認定基準を作って何を教えるのかというのと、32ページの下に「どういう能力が必要なのか」というのも合わせて勉強させると。33ページ、座学だけじゃなくて実習・実践をしましょうと。34ページ、アメリカのFEMA(連邦緊急事態管理庁)みたいに、全米のものを危機管理庁が全部研修をコントロールしていると。最後35ページ。いろんなロゴ、今BNPB(インドネシア国家防災庁)、真ん中イタリア、FEMA(アメリカ)のロゴを並べてますけども、やっぱりちゃんとかっこいいものを作るということも大事だと思います。かっこいいというのは見た目の美しさだけじゃなくて、次のページに行くと、Di.Coma.C.(Direzione Comando e Controllo:指揮統制室)、イタリアの現地災害対策本部のことですけども、こういったものが貼られていて分かりやすいんですね。なので見た目の美しさ、かっこよさにプラスして、ちゃんと機能も設計できるということで、こういう防災庁もかっこいいロゴとか色々できるといいのかなと思います。37ページ、まとめですけども、業務を理解して、情報を管理して、空間機能・配置を設計して、リソースをちゃんと運営できる。それを防災庁中心に「ワンチーム・ワンレスポンス」で対応できる、そういう体制ができると素晴らしいなと思ってます。以上で終わります。ありがとうございました。