ドイツ特別セミナー シーズン 3 
高信頼性緊急対応ネットワークはいかにリスクと不確実性をマネジメントしているのか 


高信頼性緊急対応ネットワークはいかにリスクと不確実性をマネジメントしているのか

― ドイツ・デュッセルドルフ市の事例から ―

 

Prof. Dr. Gordon Müller-Seitz先生 特別セミナー 2026年6月2日(火)15時開始 

 

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セミナー概要

現代社会において、自然災害、パンデミック、インフラ障害などの大規模な混乱は、単一の機関だけで対応できるものではありません。実際には、消防、救急、警察、行政、医療機関、民間事業者、ボランティア組織など、多様な組織が連携しながら対応しています。

本セミナーでは、こうした複数組織による危機対応システムを理解するための概念として、High-Reliability Networks(HRN:高信頼性ネットワーク)を紹介します。HRNとは、不確実性の高い状況においても、複数の組織が連携し、安定した対応能力を発揮するためのネットワーク型の仕組みを指します。

講演では、ドイツ・デュッセルドルフ市における消防・緊急対応システムを対象とした長期的かつ詳細な調査に基づき、60以上の自律的な組織が、中央集権的な統制に依存せずに、どのように活動を調整しているのかを明らかにします。対象となる事例には、カーニバルの開催のような計画的なイベント対応と、テロの脅威のような予期しない危機対応の双方が含まれます。

本研究の知見は、緊急対応システムの信頼性が、形式的な組織構造や階層的な指揮命令だけによって生み出されるわけではないことを示しています。むしろ、信頼性は、組織間の長期的な関係性、共有された実践、そして継続的な共同準備を通じて、丁寧に育まれるものです。


開催概要

日時:2026年6月2日(火)、15時開始
講師:Prof. Dr. Gordon Müller-Seitz
所属: Chair of Strategy, Innovation and Cooperation, Center for Interdisciplinary Disaster Research (CIDR), University of Kaiserslautern-Landau, Germany
講演タイトル:高信頼性緊急対応ネットワークはいかにリスクと不確実性をマネジメントしているのか
― ドイツ・デュッセルドルフ市の事例から ―
How High-Reliability Emergency Networks Are Managing Risks and Uncertainties: Evidence from the German City of Düsseldorf
対象:自治体、消防、警察、医療、民間企業など学生・研究者・実務者
会場:東京大学生産技術研究所 会場未定 https://www.iis.u-tokyo.ac.jp/ja/access/
※会場の席の都合上、オンライン参加をお願いする場合があります。
開催形式:ハイブリッド(Zoom)
言語:英語 ※日本語で翻訳を入れます。
参加費:無料

参加申し込み!

 

問い合わせ:沼田 宗純

 


本セミナーの主要論点

本セミナーでは、特に以下の3つのメカニズムに焦点を当てます。

1. 組織の境界を越えた関係性と信頼

災害や危機対応では、異なる組織がそれぞれの専門性や権限を持ちながら、短時間で連携する必要があります。その際に重要となるのが、平時から蓄積された関係性と信頼です。

形式的な協定やマニュアルだけでは、予測できない状況への対応には限界があります。平時からの顔の見える関係、相互理解、共同訓練を通じて、組織の境界を越えた実効的な連携が可能になります。

2. 公式手続きと非公式調整の相互補完

危機対応には、計画、手順、指揮命令系統などの公式な仕組みが不可欠です。一方で、現場では状況が刻々と変化し、事前に定められた手続きだけでは対応しきれない場面も生じます。

本研究は、非公式な調整が、公式手続きを補完する重要な役割を果たしていることを示しています。関係者間の素早い連絡、現場感覚に基づく判断、柔軟な役割調整は、ネットワーク全体の対応力を高める要素となります。

3. 冗長性を「非効率」ではなく「レジリエンス」として捉える

通常、冗長性は重複や無駄として捉えられがちです。しかし、不確実性の高い緊急対応においては、冗長性は重要な備えとなります。

複数の組織が似た機能を持つこと、代替手段を用意しておくこと、複数の連絡経路や判断経路を確保しておくことは、予期しない事態が発生した際の柔軟性と継続性を支える基盤となります。本セミナーでは、冗長性をレジリエンスの源泉として再評価します。


「不確実性を実践する」という視点

本セミナーでは、理論的視点として “practicing uncertainty”、すなわち「不確実性を実践する」という考え方も紹介されます。

これは、危機対応において、関係者が曖昧で不完全な情報の中で状況を理解し、意味づけ、互いの対応をリアルタイムに調整していくプロセスに着目するものです。

災害や危機の現場では、すべての情報がそろってから意思決定できるわけではありません。不確実な状況の中で、複数の組織がどのように共通認識を形成し、行動をそろえていくのか。本講演は、その動的なプロセスを明らかにします。


 

Prof. Dr. Gordon Müller-Seitz

Chair of Strategy, Innovation and Cooperation

Center for Interdisciplinary Disaster Research (CIDR)

University of Kaiserslautern-Landau, Germany

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